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香港歴史漫郵記
2007.09.25
気鋭の郵便学者が切手に関する該博なウンチクとともに語り下ろす、香港史の決定版!
内藤陽介著 大修館書店刊
海外旅行で、香港は日本人の人気旅行先である。マカオや台北にしてもそうなのだが、だれでも事前に、旅先の土地についてある程度の文化や歴史を知ろうとする。しかし、結局は買い物に必要な片言の現地語を少々、なんてことで出発せざるを得ないものだ。
旅先の歴史、文化について興味が増してくるのは、むしろ帰国後のこと、とは多くの人が体験するところだろう。現地で食や習慣、独特の建築等の生の異文化に接し、初めて旅行先が自らにとってリアルな対象となる。そんなとき、こと香港に関しては、内藤陽介著「香港歴史漫郵記」が、その歴史と文化を身につけることのできる絶好の1冊になることだろう。
本書は、郵便学者・内藤陽介氏が、切手・郵便を通して検証してきた香港の歴史を、現地を旅するという実体験に重ね合わせて語る「漫郵記」である。いわば、内藤氏は理想的な旅人として、香港を歩き回る。一読、氏の豊富な知識に驚くとともに、ここまで理解して旅先をめぐれるとは、なんと楽しいことだろうと想像してしまう。たとえば翠享邨茶寮という点心の店名から、孫文の出身地(翠享)に想いを馳せ、香港という街での受け取られ方を推測する、そんな視点こそ、旅を数倍楽しくする極意であるのだろうと思う。あわせて、切手・郵便を理解することが、いかにその国・地域の理解にとってキーワードとなるかが、本書を読んで痛感される。
香港旅行を考えている方には、あらかじめの一読をおすすめしたい格好の1冊である。とともに、切手収集に興味を持つ方にとっては、郵便という制度が近代社会のなかで果たした役割を、グローバルな世界史のなかで改めて認識する絶好の1冊となることも請け合いである。
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