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モナコ -世界切手国めぐり-
2010.08.05
コート・ダジュールの都市国家 モナコ


●…リゾートの都市国家
 アルプス山脈が南フランスの地中海に沈むプロバンス地方の海岸は、コート・ダジュール、紺碧の海岸と呼ばれています。国際映画祭で有名なカンヌ、保養客でにぎわうニース、そして国境を越えてイタリアに入ると、歌謡祭で知られるサンレモなどのリゾート都市の並ぶリビエラに続きます。
 青い地中海と明るい太陽、山が海に迫った海蝕崖上の国道を白いスポーツカーが走っていく…。なつかしいフランス映画のシーンが浮かんできます。モナコ公国は、イタリア国境に近いコート・ダジュールの一角にあります。面積わずか2平方㌔㍍のこの都市国家は、宮殿をはじめ、比較的クラシックな建物の並ぶ西側のモナコ市と、豪華な新しい富豪たちの別荘が集まり、有名なカジノがある東部のモンテカルロ、そして、下町とでも言うべき商店街のあるラ・コンダミーヌの三地区から成っています。


●…古い建国
 モナコ公国の建国はイタリアやドイツなどと比べるとはるかに古く、10世紀にジェノバに本拠のあるグリマルディ家が、神聖ローマ帝国の皇帝オットーからこの地を与えられたのが始まりだとか。《MONACO》の国名には、確かにフランス語よりもイタリア語の響きがあります。 
モナコ公国
Principality of Monaco

面積:1.95平方㌔㍍ 
人口:3万2千人(97年)
首都:モナコ
モナコ国旗
国  旗
言語:フランス語が公用語。
宗教:カトリックが90%。
通貨:ユーロ
モナコ地図
 1512年にフランスはモナコの独立を認めますが、以後、フランスの勢力圏に入りました。ナポレオン時代には、一時フランスに併合されますが、やがて公国としての独立を回復しました。
 ただし、この国には、いつも一つの心配事があります。1918年に結んだフランスとの条約で、君主に嫡子が生まれない場合には、フランスに併合されることになっているからです。幸いにも1958年にレーニエ3世にアルベール王子が誕生したので、当面国家は安泰です。ちなみに王子の母君こそ、かつてのハリウッド女優グレース・ケリー。不幸にも’82年に自動車事故で亡くなりましたが、ロイヤルファミリーとして、しばしば切手に登場するので、フィラテリストにはお馴染みでしょう。


●…海へ!
 地中海沿いの狭い国土しかないモナコは、当然のことながら眼前に広がる地中海への関心が高まります。切手でもしばしば紹介された海洋博物館は、海洋研究に熱心だったアルベール1世が1910年に創設したもの。当時としては画期的な研究施設でした。
 近年は、海洋汚染防止にも積極的に取り組んでいますが、やはり背に腹は変えられず、地先の海面を埋め立てて0.2平方キロメートルほどの“国土”を創出し、工業用地を中心に、新しい街づくりが進められています。この国土の拡大の様子は、切手でも紹介されました。


●…切手の特色
 モナコの一番切手は1885年。シャルル3世公の肖像を描いたもので、その後何回か新しい切手に再現されています。
 モナコの切手は、いずれもフランスで製造されており、フランスと同様、独特のやや粗い凹版印刷のものが多くみられます。
 一般に、大部分の切手はモナコの風景やイベントなど、自国と何らかのかかわりのあるテーマによるものが中心ですが、意外に多いのが人物切手。モナコの切手で初めて登場するフランスの文学者や芸術家もみられます。映画にもなった思春期の少年少女を描く『青い麦』の作者、コレットや、俳優のモーリス・シュバリエなどをモナコの切手でご覧になった方も多いでしょう。
 また、モナコでは、しばしば大型の近代絵画の切手を発行しますが、そのサイズやタッチがフランスの名画切手に大変似ているため、時に戸惑うこともあります。
 それにしても、モナコの切手はまるで“広報誌”のように、日本では情報の乏しいこの国の様子をよく伝えてくれます。
海洋博物館100年小型シート/モナコ
海洋博物館100年小型シート/モナコ
2010年3月29日発行

モナコ海洋博物館は、海洋学者として多くの業績を残したモナコ大公アルベール1世(1848-1922)の構想により1910年に開設。「海の科学」を主題に19世紀末以降の海洋関連文献や海洋生物の展示を行い、年間100万人以上が訪れる。<br>切手の図案は、海洋調査船上のアルベール1世、シロクマ(館内の展示物)、アマノガワテンジクダイ、ヒトデと手。凹版+平版。
この国の切手はこちら

国めぐりこぼれ話

■プリキャンセルの切手

 かつてソ連や東欧諸国などで、売れ残った切手に消印して、収集家用に安価で売り出していたのはオーダーキャンセルで、「注文消」。これにやや似ているが、最初から、あたかも加刷のように消印を印刷して発売する切手がある。一般にプリキャンセルと呼ばれ、あえて訳せば「前消」、あるいは「事前消」とでもなろうか。

 フランスではほとんど毎年、半月状に《AFFRANCH ts POSTES》を消印加刷した数種類が発行されている。《郵便料金支払い済み》を意味するこうした加刷を施したものが、モナコの切手にも時折みられる。台切手には、プリキャンセル用に特別に印刷したものが使われているのが普通である。もちろん、日本にはこれに類するものはない。日本では一度に同種の郵便物を大量に窓口に差し出す時に用いる〝料金後納郵便〟や〝料金別納郵便〟がこれにあたるが、通常、郵便局備え付けのハンコを使ったり、あらかじめ封皮やはがきの左上にそれらを印刷して済ませている。切手を貼る手間が省けるからである。

 プリキャンセルの切手には再消印することがないので、裏糊のないものが原則として〝使用済〟となるが、〝再使用〟などの弊害はないものだろうかと、人ごとながら心配になる。必ずしも利用者のモラルだけが頼りとは考えにくいので、何らかの合理的なシステムがありそうだし、そもそも余りメリットの無いこうした切手が発行されること自体、不思議である。どなたか、この間の事情をご存じないだろうか。

※このコーナーは「続・世界国めぐり」(2004年刊行)から引用しています。 
  内容が現在と異なる場合があります。
この記事が掲載されている本はこちら です

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