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切手が伝える 暦と時計の世界史
2010.04.24
時を計り、時を刻む営みを約400点の切手で概観。
串田均著 彩流社刊
図1:入社試験の面接日時を知らせる
1通のはがき
入社試験の面接日時を知らせる1通のはがき(図1)。それが生涯の収集テーマ「時と時計」の発端になった!
はがきは服部時計店(現セイコー)から、著者・串田 均(くしだ・ひとし)さんに差し出されたもの。本書でも、巻頭を飾る思い出の一品である。
串田さんは幼少から切手収集になじんできた。面接通知を受け取ったときは、「あっ 、穿孔(せんこう)切手が貼ってある!」と、ドキっとしたという。穿孔切手とは、使用者名(主に会社名)の頭文字や屋号などの記号で切手に穴を開けたもの。はがきを見ると、「KH」と穴が開けられている。めったに手に入らない切手で、収集家だった串田さんがドキっとしたのも無理はなかった。
高校時代、串田さんは植物切手や動物切手の収集に夢中だった。ところが、当時、高校生に郵政が貸し出していた展示用アルバムのなかにあった「第2次世界大戦史」を見て、切手で歴史が語れるんだ!と気が付く。時計という職業につき、専門知識を学ぶとともに、時と時計の文化史にも興味を惹かれるようになった串田さんは、切手収集のテーマにも「時と時計」を選んだ。
「ふつう趣味というのは、仕事で疲れた心身を休めるためにあるのですが、私の場合は一体化していて、実は休む暇がないんです(笑)。海外視察の際などにも、休日があると、その土地の時計博物館を見て歩きました。ドレスデン時計博物館で、ドイツの至宝である天文時計を見たときは、ひじょうに感動しました。本書に掲載したヨーロッパの名品時計は、かなり本物を見ています。どれもこれも素晴らしかった!」
こうした串田さんの知識は高い評価を得て、定年後にも声がかかり、セイコー時計資料館で勤務している。
今回の本には、串田さんが蓄積してきた「時、暦、時計」の歴史と逸話が、これも長年の切手収集の成果とともに、手際よく書き込まれている。たとえば、こんな話をご存じだろうか?
…時計の文字盤の4は、ローマ数字で表す場合、「IV」は誤り。正しくは「IIII」の表示を使わなくてはならない…(図-2)
図2:1984年スイス発行特殊切手3種より
「サンティミエ町1100年」(サンマルタン塔の時計文字盤と町並)
答を本文から引用してみよう。
「フランスの首都パリ。シテ島の、裁判所の一画「時計の塔」に設置の金色の時計は、1370年、フランス国王シャルル五世が時計師ハインリッヒ・フォン・ヴィックに製作させた現存最古の公共時計とされる。
ヴィックは文字盤にローマ数字を用い、四時を「IV」と表示したが、国王からクレームがついた。自分が「五世」であるが故「5引く1」を意味する「IV」は不適切であると。
ヴィックは思案の後「IV」を「IIII」と改めたとい云う。これ以後時計の四時を「IIII」と表示する習慣が定着して、他国にも伝わり、今日なお世界の時計界の常識となっている」*
時と暦と時計をめぐる、興味深い歴史と文化。ぜひ、ご一読を!
串田さんは10年前、日本を代表する時計文化「和時計」の切手がないことを訴えていた。それは「科学技術とアニメ・ヒーロー・ヒロインシリーズ第2集『時・スーパージェッター』で、ようやく実現された!
図-3 本文より、「日本への時計の伝来」と「和時計の誕生と発展」について記したページ。
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