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タジキスタン ─世界切手国めぐり─
2010.01.06
パミール高原を抱くCISの山国タジキスタン

●…世界の屋根パミールを仰ぎつつ
 アフガニスタンの北隣にあるタジキスタンの国境は意外に複雑ですが、その国土の東半分は、世界の屋根と呼ばれるパミール高原が占め、中国と接しています。“高原”とはいえ、ここには富士山の2倍に達する7,495メートルのコミュニズム峰がそびえています。《コミュニズム》とは共産主義のこと。それもそのはず、タジキスタンはかつてソ連の構成国の一つで、当時は《タジック共和国》と呼ばれていました。コミュニズム峰は、ソ連の最高峰でもあったのです。1986年には、ソ連の切手でも紹介されています。

 タジキスタンは、ソ連の崩壊の前夜、1991年9月に独立を宣言し、その後、CIS(独立国家共同体)に参加しました。
 国民の7割近くはイラン系のタジク族で、トルコ系に近いウズベク族も2割以上を占め、ともにイスラム教を信じています。これらの人々は、主に豊かな西南部やフェルガナの盆地を中心に居住し、農牧業を営んできました。今では綿花栽培が盛んです。

●…国際舞台に向かって
 かつてソ連の最南部を構成していたタジキスタンは、対立する中国やアフガニスタンと接することもあって、外国人は容易に立ち入ることのできないところでした。
 独立後、しばらく続いた内戦も収まった現在では、次第に海外に向かって扉が開かれてきます。昨年には、投資や企業誘致を促すために、この国の中央銀行総裁が日本にやってきました。
 また、アフガニスタンのタリバーン勢力を攻撃する際、一時、米軍の空軍基地がおかれたこともありました。ソ連時代には、とても考えられないことです。

●…切手の変遷
 タジキスタンの一番切手は1992年、この地の出土品を描いた正刷切手でした。
タジキスタン共和国  Republic of
Tajikistan
面積:14万3,100平方平方㌔㍍ 
人口:644万人(2000年)
首都:ドゥシャンベ(51万7,000人))

国  旗

住民:イラン系タジク族64.9%、ウズベク族25.0%、ロシア系3.5%など。
言語:公用語はタジク語。
宗教:イスラム教スンニ派が中心。パミール地方はイスラム教シーア派。
資源:石油、天然ガス、金、ウラン。
通貨:ソモニ
 独立後、まだ間もないために、はっきりした独自のカラーは見られませんが、文化財や珍しい動植物の紹介が目につきます。同時に、この国の誇る文化人なども登場し始めました。
 なお、切手の国名表示には、キリル(ロシア)文字とローマ文字が併記されていますが、独立当時の《TADZIKISTAN》は、1995年頃から《TAJIKISTAN》に改められました。
 また、2000年には、通貨単位も、それまでの《タジック・ルーブル》から、建国の偉人にちなんだ《ソモニ》に変更しています。
アジアの動物 8種シート
アジアの動物 8種シート
2009年7月28日発行。

フタコブラクダ、オオヤマネコ、アジアゾウ、ジャイアントパンダ、ニホンザル、ラダックウリアル、モウコノウマ、ベンガルトラ。
この国の切手はこちら

■マルコ・ポーロの足跡
 かつて日本を《黄金のジパング》としてヨーロッパに紹介したベネチアの商人マルコ・ポーロの著した『東方見聞録』は、しっかりした日本語訳が東洋文庫(平凡社刊)の一冊にあるので、お読みになった方も多いかと思う。彼は13世紀の元の時代に、ほぼ陸路を通ってユーラシア大陸を横断し、元の都・大都に達し、フビライ汗に謁見している。

 マルコ・ポーロの行程については、その後地理学者などによって多くの検証がなされ、その旅行記の記述の正確さが改めて認識された。彼は往路、タジキスタン領のパミール高原を越えて、カシュガルやヤルカンドなど、現在中国領となっているタリム盆地の南側、すなわち、《西域南道》を東に向かって歩いている。

 彼はパミール高原を《パミェル地方》として記録し、その通過に12日を要すとしている。途中、人家も無いので、旅行者は自ら糧秣(りょうまつ…人と馬の食料)を携帯すべきだとし、さらに、「土地が非常に高いのと寒気が厳しいために、一羽の鳥も見かけられない。…この厳しい寒気のせいで、この地では火を燃やしてもあかあかとは燃えない。…食物の煮炊きにしても、できあがりがうまくない…」と記している。当時は、まだ気圧や酸素不足などの知識がなかったために、こうした現象を専ら寒気によるものとしているが、高山におけるこうした観察の正しさは、登山の経験をお持ちの方なら、すぐに納得されるはずである。

 それにしても、中央アジアの扉が開かれ、平和が甦り始めた現在、地理学者ならずとも、ポーロの足跡をたどりたくなりはしないだろうか。もちろん切手でたどれば、《JAPEX》入賞は間違いなしである。


※このコーナーは「続・世界国めぐり」(2004年刊行)から引用しています。 
  内容が現在と異なる場合があります。
この記事が掲載されている本はこちら です

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