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解説・戦後記念切手 第7巻 1985-1988 「昭和終焉の時代」
2009.11.24
内藤陽介

シリーズ完結!
記念切手が織りなす 戦後史のモノ語り

解説・戦後記念切手 第7巻 1985-1988 「昭和終焉の時代」

 郵便学者・内藤陽介さんのライフワーク「解説・戦後記念切手」が、第7巻「昭和終焉の時代」の刊行をもって完結しました。
 2001年刊行の第1巻「濫造・濫発の時代」以来、書き継がれたシリーズ全体の総項目数は552、総ページ数2,256という、記念碑的な著作が完成したのです。

 「戦後記念切手を1枚1枚解説するという書籍は、誰もが必要性を叫んでいたものです」と、著者の内藤さんはいいます。しかし、誰もやろうとはしませんでした。「時間と手間があまりに掛かりすぎて、誰も手を出さなかったというのが実情でしょう…」
 内藤さんは当シリーズ執筆のための資料として、過去の郵趣雑誌、新聞、その他のコピーを精力的に取られてきましたが、7巻を合計すると、その枚数はなんと軽く10万枚以上! 現在、ご自宅の本棚1台分がコピーのファイリングだけで占拠されてしまっているといいます。こうして集められた資料を、内藤さんは丹念に整理し、ファイリングし、1冊1冊執筆を進められていきました。
 シリーズはNHKの書評番組にも取り上げられ(漫画家やくみつるさんの推薦)、スポーツ評論家・二宮清純さんからは「凄まじい量の情報を詰めて、研磨し、練り上げた1冊」と激賞もされました。

 そして、最終巻に当たる第7巻のタイトルは「昭和終焉の時代」。1985年から、平成直前の1988年12月に発行された切手が、1枚1枚、各種資料を駆使しながら、じっくりと語られます。
 このシリーズの特徴は、切手の発行に至る経緯、製造秘話、その後の反響をたどることで、記念切手と社会のつながりを浮かび上がらせたことにあるといえましょう。たとえば、第7巻「昭和終焉の時代」を見ると、各種政策を積極的にメディア発信した中曽根康弘首相の時代にも重なり、切手も政治メディアとして認識されていたことが、本書においてさまざまに語られ、驚かされます。
 1986年に発行された「東京サミット」では、過去の海外サミット切手(フランスやイギリスの発行)とはひと味違うものが求められ、結局、中曽根首相自身が題材を、安田靫彦画伯の「黎明富士」とするよう指示しています。
 また、同年発行の「日韓国交正常化20年」では、当時、いわゆる進歩的知識人から軍事独裁国家と批判のあった韓国との周年を記念するのに、「なぜ10周年でなく(10周年時の記念切手は発行されなかった)、20周年を記念しなければならないのか」と、切手発行の政治的意図を指摘する声も挙がっていました。

 内藤さんは、記念切手発行の背景に、さまざまな時代背景と事情とを浮き上がらせてゆきます。そして、内藤さん自身も、当時は記念切手を集めるだけで、その発行にこのような諸事情があったことを、調査によって知り、驚かされたといいます。
 私たちの同時代の切手には、たんに美しかったり、懐かしかったりするものばかりでなく、時代と密接に結びついた発行のほんとうの理由が必ずひそんでいるのですね。
 切手収集を楽しまれてきた同時代人でもある皆さんに、ぜひご一読いただきたい1冊です。
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