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青春の蹉跌2000GT
2009.11.17
住宅ローンを繰り上げ返済、返す刀で新車を購入、アッキーナを迎えに深夜の関越を激走している途中で、高校生の息子に揺り起こされた(しかも足で)。

「お客さんだよ」

父は死にましたと言え。借金残して蒸発しましたと言ってしまえ。優しいだけが取り柄の意気地のないひとだったと泣け。

「北川景子みたいなひとだよ」

すぐに行くと言え。何なら上がってくれと言ってしまえ。ひとを幸せにするのはまず自分が幸せになることだと村上龍も言ってたと泣け。そして。

玄関を開けるとそこには現場監督の格好をした鼠先輩似の男(推定38歳)がいた。

「お休みのところ誠に申し訳ないっす。あたしはこちらの近所で工事に入ってる人間なんすけどね、どうも気になっちまってね、お呼び立てしちまったってことで。ぶっちゃけ言わせてもらいますけどね、旦那さんちの屋根、かなりスゴイことになってんだわ」

現場関係者にしては妙にピカピカな革靴に目を落とすと鼠は急に早口になった。

「見積り出すよ。見積り見積り、見積り出すよ。自由だよ見積りは自由なんだよ」

映画「タイタニック」で学んだことのひとつ、『人間てなんていい加減なんだろう、素敵』とは真逆の男、生まれながらの子分肌のこの男に、横で笑いを堪えていた息子が言った。

「おじさんさ、屋根だけじゃないんだよ、かなりスゴイことになってんのは、俺んち。」

愛作

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