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日専を読み解くシリーズ「震災切手」
2009.08.25
明解! 納得! 「震災切手」を揺るがす 魚木流・読み解く本。
日専を読み解くシリーズ「震災切手」
大正12年(1923)9月1日午前11時58分、関東地方南部に、マグニチュード7.9の大地震が発生しました。「関東大震災」です。地震のマグニチュードは7.9と発表されましたが、これは日本の観測資料によるもので、全世界の資料による表面波マグニチュードは8.2に達しています。この震災による被害金額は、現在の価値に換算すると、10兆円の規模にもおよびました。被害の中でもとりわけ大きく影響したのは、首都東京の大火災によるもので、火災は地震直後の9月1日正午ごろから市内各所で発生し、ほぼ2日の後、9月3日午前4時ごろようやく鎮火。メールやインターネットの無い当時においては、ことに重要な通信手段であった「郵便」の世界においても、その影響は深刻でした。
当時の郵政を管轄していた逓信省や、切手などの製造を行っていた大蔵省印刷局などは、9月1日夕方から夜にかけて全焼。この結果、郵便切手に関して見ると、製造に必要なほとんどすべての設備や資材は失わてしまいます。また、既に完成して全国の郵便局に配給するため、逓信省の切手倉庫に保管されていた切手もことごとく灰になってしまい、新規の補給が途絶えると、数ヵ月後には日本全国の郵便局から切手が消失してしまうことが予測されました。
この事態に対処するため、震災発生後6日目の9月7日には、暫定切手発行のための協議が行われ、額面5厘から20銭までの暫定的な切手を、印刷局を経由して民間の印刷会社に製造させることが決定。これが本書のテーマである「震災切手」です。切手の図案には復興のシンボルとして日本に関係の深いものが選ばれ、低額面用には中央に富士山、周囲に桜の木やトンボ*を配したものが、高額面用には中央に太陽、左右にトンボを配したものが描かれました。
*日本ではトンボは古来、秋津(アキツ、アキヅ)と呼ばれ、親しまれていて、古くは日本自体を秋津島(あきつしま)ともうたわれた。
本書はこの「震災切手」に関して、その誕生の背景から紹介しています。
しかし本書は単に「関東大震災」がもたらした「震災切手」という“歴史”の一面を語るだけのものではありません。震災切手20種を詳細に解説し、切手に見られる特徴(富士山の山頂から煙がなびいている・桜の花びらがつながっている・トンボの尾に点がある…)から、1枚1枚の切手が、1枚ずつに切る前の大きな「切手シート」(80枚か100枚)のどこの位置にあったかを推察していく過程は、まるで“パズル”を解いていくような楽しみをあたえてくれます。大きなイラストを多用して簡潔に紹介しているので、眺めているうちに一度チャレンジしてみたくなる方もいらっしゃるのでは…。
切手の専門書というだけではなく、色々なスタンスで幅広く「震災切手」を楽しむためのガイドブックとも言えるでしょう。
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